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悩める占い師たち
占い師が苦労することの一つは、鑑定結果の伝え方です。実際、占い師さんからの
相談で最も多いのがこの課題です。これは医者が病名を患者に告知する状況に似て
います。いかなる結果も正確に、なおかつ不安を与えないようにお伝えしなければなり
ません。このさじ加減が占者の腕の見せ所でもあり、かたや悩みの種でもあるのです。
悪い結果が出た場合、伝える側である占い師も心が痛みます。そういったことの蓄積
で、日々いたたまれない気持ちで仕事をすることに、疲れてしまう占い師も少なくありま
せん。良く「毎日人の悩みを聞いて疲れませんか?」と聞かれます。自分におきた問題
でなくても、人の悩みを一緒に背負う、ある種の疑似体験をすることになるからです。
実際には日々経験を重ねていく中で、そういう疲れには少しずつ慣れてきます。ただ、
占い師を辞めてしまう人達は、伝えることに伴う自分の心痛と、返ってくる相手の反応
に心の葛藤が生まれて、耐えられなくなってしまうからでしょう。
占い師の言葉ひとつに、涙を流す人、怒りをぶちまける人、気を落とす人、恨む人…
たとえ何千人鑑定したとても、こうした反応にまったく何も感じなくなることはありません。
街占を始めて間もない頃、鑑定を終えた私に「早く忘れないと身が持たないよ」と先輩
占い師さんが励ましてくれました。鬱々とした気持ちのご相談者とお話しする時は、より
一層のエネルギーを使います。この辛さから逃げることなく頑張れば、彼女のように強く
なれるんだ、と心底憧れました。
ある日、特別救助隊のドキュメンタリー番組を見ていた時、その中に出てきた教えが
ヒントとなり、とても勉強になりました。「(要救助者の居場所)そこまで降りちゃダメ!
同じ場所に立っちゃダメだよ。助ける時は上から引き上げる!忘れないで」この教官の
"助ける時は上から引き上げる"という言葉にハッとさせられました。実はご相談者と同
じ気持ちになることは、何の助けにもならないのだと。それからは"占者は一段高いテン
ションで、相手の気持ちを引き上げないといけないのだ"と、沈んで行きそうな自分の心
に言い聞かせています。
日々の出来事からヒントを得、熟考することを繰り返した今、弱い部分は変わらず存在
しているのですが、そんな部分を含めた自分の気持ちの扱い方がようやく、分かりかけ
てきた気がします。
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